IP 等級試験に合格する方法|PEM
IP 等級に対応した設計:信頼性と耐久性に優れたエンクロージャーの構築方法
高い防塵・防水性能を備えたデバイスを製造するには、シールを追加するだけでは不十分です。慎重な材質選択、精密な製造、そして適切なエンクロージャー設計が必要です。防水スマートウォッチ、工業用コントロールパネル、屋外用セキュリティカメラなどいずれを設計する場合でも、エンジニアは気圧の変化、機械的ストレス、材質の適合性などの要因に対処しなければなりません。
この記事では、長期的な信頼性を確保し、IP 等級を向上させるための重要な設計原則を解説します。
1. 適切な材質の選択
材質の選択は非常に重要で、デバイスが水、ほこり、および機械的摩耗に対して、長期間どの程度の耐性を維持できるかに影響します
エンクロージャーの材質
- プラスチックエンクロージャー(ポリカーボネートなど):軽量化に貢献しますが、紫外線に晒されると劣化する可能性があります。
- アルミニウムやステンレススチール:産業用途において、優れた耐久性と耐食性を持ちます。
- コーティングされた金属:化学物質、塩分、湿気に対する耐性を向上させます
シールおよびガスケットの材質
- シリコン:柔軟性が高く、幅広い温度での防水に適しています。
- EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマーゴム):熱、低温、紫外線に耐性があります。
- ニトリルゴム:自動車や産業用で耐油シールに最適です。
2. スマートなエンクロージャー設計
エンクロージャーの設計は、塵や液体が侵入する隙間を最小限に抑える必要があります。
継ぎ目や開口部の最小化
- 継ぎ目や締結部の数を減らすことで、潜在的な侵入経路を排除します。
- 予期せぬ隙間が生じないよう、部品は密着させて取り付ける必要があります。
重なり合う締結部と二重シール機構
- 隆起した縁や二重リップシールを採用し、液体の侵入に対する防御壁を強化します。
- 連動する部品はラビリンス構造を生み出し、重要な部品にほこりや水を到達しにくくする効果があります
3. 圧力とベントの管理
圧力変化を受けるデバイス(水中エレクトロニクス、工業用エンクロージャなど)では、圧力を均一化する仕組みが不可欠です。
ブリーザーベントの使用
- 特殊なメンブレンベントは、水やほこりを遮断しながら空気の通過を可能にします。
- ブリーザーベントの使用により、湿気を引き込む可能性のある真空効果を防止しま
す。
4. 試験と検証
デバイスの設計後、厳格な試験を実施し、そのデバイスが IP 等級の要件を満たしているか
どうかを確認します。
- 標準的な IP 試験に加え、実際の使用環境を模擬した試験を行うことで、予期せぬ故
障箇所を明らかにすることができます。 - 長期耐久性試験は、時間の経過とともに材質がどのように劣化するかを評価します。
結論
IP 等級を考慮した設計には、適切な材質選定、構造設計、そして試験プロトコルを含む、多角的なアプローチが必要です。環境要因がデバイス性能にどのような影響を与えるかを理解することで、エンジニアは真に耐久性のあるエンクロージャーを構築できます。
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