IP 等級とは?|PEM®
IP 等級とは何か:その意味と重要性
携帯電話を水の中に落としても壊れなかったり、屋外の防犯カメラが雨や粉塵の中でも動き続けたりするのを見たことはありませんか? これらの耐久性の背景には、IP 等級があります。IP 等級は、粉塵や水、その他の異物から内部の部品を保護する、製品デザインにおいて重要な要素です。
IP 等級は、あらゆる産業において不可欠です。家電製品、自動車システム、産業用機械、さらには航空宇宙機器に至る過酷な環境下でも確実に機能するためには、それぞれに適した保護エンクロージャーが必要となります。万が一適切な保護がない場合には、機器は水による損傷、腐食、または粉塵の蓄積によって故障し、高額な修理費や交換費用が発生する可能 性があります。
IP 等級とは?
IP 等級とは、固形物や液体が内部に侵入し、内部機構に影響を与えることを防ぐ、エンクロージャー(筐体)の保護能力のことです。この保護は、密閉ケース、特殊ガスケット、耐久性のある素材などの要素を取り入れた綿密な設計によって実現されます。この保護性能のレベルは IP 等級によって示されます。IP 等級は、製品の防塵・防水性能を示す標準化された分類です。
例えば、IP68 の等級を持つスマートフォンは防塵機能を持ち、水没にも耐えられます。一方、IP65 の等級の産業用制御ボックスは、防塵機能と低圧水噴射への耐性を備えています。このように、用途によって異なる保護レベルが必要とされるため、IP 等級は、その製品が意図された環境下で期待通りに機能し続けることを示す指標となります。
IP 等級の重要性
IP 等級は、製品の寿命、信頼性、安全性において重要な役割を果たします。家電製品では、
スマートフォン、ウェアラブルデバイス、ワイヤレスイヤホンを雨や汗などの水滴から保護
します。自動車産業では、センサー、カメラ、電気部品などが道路の粉塵や高圧洗浄、大雨
に耐える必要があります。産業用機器は、粉塵が充満したり水しぶきがかかる環境で稼働す
ることが多いため、故障を回避するには IP 等級を満たすエンクロージャーが不可欠です。
航空宇宙や軍事分野でも、IP 等級が重視されています。砂漠や高度飛行など、極端な環境
で使用される機器は、砂嵐や湿気、気圧変動に耐え、確実に稼働する必要があります。適切
な IP 等級を満たすことで、外部環境の影響を受けにくく、これらの製品が常に安定した性
能を発揮することが保証されます。
IP 等級の仕組み
ISO 20653-2014 で標準化された IP 等級システムでは、保護レベルを 2 桁の数字で分類しています。最初の数字(0~6)は、粉塵や破片など、固形物に対する保護の度合いを示します。2 番目の数字(0 から 9K)は、水滴から高圧ジェット噴射や完全水没までの液体に対する耐性を示します。
例えば、IP67 等級の機器は完全な防塵構造を持ち、規定の条件下で水深 1 メートルに 30分間沈めても浸水しません。一方、IPX5 等級の機器は防塵性はありませんが、あらゆる方向からの水の噴射に耐えることができます。これらの等級を理解することで、エンジニアは耐久性のある製品を設計し、消費者は自身のニーズに合った機器を選ぶことができます。
結論
「IP 等級は製品設計における基本的な考慮事項であり、機器や機械が粉塵、水、その他の環境要因にさらされた場合でも、信頼性の高い動作を保証するものです。日常的に使用するガジェットからハイテクな産業用機器まで、IP 等級を満たすことで耐久性を明確に評価することができます
次の投稿では、IP 等級システムを詳しく掘り下げ、各数値の意味とさまざまな用途に適した保護レベルの選び方を説明します。
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