金属の接合において、溶接に代わる有効な手段とは？
特に複数の材料を扱う場合、金属の接合は簡単な作業ではありません。
数ある金属のファスニング方法の中でも、溶接は現代における最も一般的な方法で、主に溶接接合部の強度のために使用されています。
溶接には大きな課題がいくつかあることも事実ですが、これらは新技術や製品イノベーションによって解決できるようになりました。
この記事では、金属同士の溶接に代わる2つの重要な方法について説明します。それぞれの利点と欠点をよく知ることで、それぞれのケースに最適な接合方法について、十分な情報を得た上で決断できるようになります。
この記事でカバーするトピックは以下の通りです。
溶接の欠点とは？
接合方法として溶接に頼る場合、いくつかの大きな課題に直面する可能性があります。
エネルギー使用量が増える
溶接工程では有害なガスが発生することがあるため、溶接作業者や同じ空間で作業する人を保護するために、局所排気装置（LEV）を設置することが不可欠です。
その結果、設置費用やLEVシステムのランニングコストがかかり、接合方法として溶接を使用することを躊躇する人もいます。
安全規制が定期的に変更されるため、LEVシステムに頻繁な更新が必要になります。あるいは法規制に合わせて完全交換が必要となる可能性もあります。
大量の熱が発生する
溶接は多くの熱を発生させるため、融合される金属が変形することがあります。そのため接合部が弱くなり、最終製品の品質が低下する可能性があります。
溶接の接合部が弱く、製品に不具合が生じた場合、エンジニアが問題を修正するためにさらなる作業を行う必要があるため、生産工程が長くなってしまいます。
その結果、リードタイムやプロジェクトに遅れが生じ、最終的にコストアップにつながる可能性があります。
また溶接の際にコーティングが剥がれることで、部品が腐食する可能性もあります。
溶接の限界
溶接は、同じ種類の金属同士を接合する場合にのみ有効な接合方法であり、異種材料は溶接できません。
手間がかかる
溶接は非常に時間と手間がかかる作業です。それも、高度な技術を持った専門家でなければできない作業です。しかし現在、業界では人手不足と言われています。そのため、仕事を正しく行うために必要なスキル、経験、知識を持つ溶接工を見つけるのは簡単ではないかもしれません。
期待する結果が得られない可能性がある
溶接は部品全体の重量を増加させる可能性があり、溶接された接着部は必ずしも水密性が高いとは限りません。重量やシーリング剤についての用件が厳しい場合は、特に考慮すべき点です。
溶接に代わる選択肢とは？
溶接に代わる選択肢として、主にメカニカルファスナーと接着剤の2つがあります。それぞれメリットとデメリットがありますので、見てみましょう。
セルフクリンチングファスナーと接着剤
溶接は人気のある接合方法ですが、セルフクリンチングファスナーも多くの人が一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
セルフクリンチングファスナーを使用するメリット
セルフクリンチングファスナーには、取付けの実用性から最終製品の性能・品質の向上まで、さまざまな利点があります。代表的な利点には以下のようなものが挙げられます。
- 必要なのは最小限の表面処理だけ
- 硬化時間がない
- 機械式ファスナーの取付けにかかる時間は、2つのコンポーネントを溶接する場合と同じ
- 機械式ファスナーは、簡単に元に戻すことができる唯一の接合方法である
セルフクリンチングファスナーを使用するデメリット
アプリケーションのためにセルフクリンチングソリューションを検討する場合、エンジニアは、緩い溶接ナットや接着剤と比較して、緩いクリンチングナットがより高価になる可能性があることを念頭に置いておく必要があります。
接着剤で金属を接合するメリット
金属の接合方法として、接着剤は製造業界では比較的新しいものです。しかし、接着剤には以下のようなメリットがあります。
- 通常溶接や機械的なファスナーよりも安価である
- 正しく使用すれば、溶接と同等の強度を持つ結合が可能
接着剤で金属を接合するデメリット
接着剤を金属接合に使用する場合、次のような課題が考えられます。
- より多くの表面処理が必要な場合が多い
- 接着剤には硬化時間がある
- 効果的に使用するためには専門的な知識が必要
- 構造的なサポートが必要な場合がある
どの接合方法がご自身の要望に最も適しているかを判断する際には、コスト、施工の容易さ、安全性や技術要件、仕上がりの全体的な品質など、多くの考慮すべきポイントがあります。
また、溶接の代替方法として「機械式ねじ込みファスナー」の詳細については、当社の記事を参照してください。
セルフクリンチングファスナー技術について学ぶ
PEM®の革新的なセルフクリンチングファスナー技術についてご紹介します。溶接ナットに代わる強力で汎用性の高いセルフクリンチングファスナーシリーズは、困難なスポット溶接やタック溶接のプロセスを合理化、簡素化するように設計されています。