セルフタッピング vs セルフクリンチング
金属用セルフタッパーネジとセルフクリンチングファスナーの違いや、アプリケーションに応じた最適なオプションについて詳しくご紹介します。
セルフタッピングとセルフクリンチング:どちらがより優れている?
昨今の設計エンジニアはかつてないほど豊富で柔軟な選択肢からファスニングソリューションを選ぶことが可能になりました。より軽く、より薄く、より強い部品へのニーズはファスニングの技術革新の可能性を広げ、エンジニアに従来の選択肢と新しい選択肢の両方を提供しています。
この記事では、セルフタッピングネジとセルフクリンチングファスナーの違いを解説し、アプリケーションに応じた最適な接合方法をご紹介します。
目次:
- セルフタッピングネジとは?
- セルフタッピングとセルフドリル
- セルフクリンチングファスナーとは?
- セルフクリンチングファスナーの仕組み
- セルフクリンチングファスナーのメリットとは?
- セルフクリンチングファスナーの種類
- セルフタッピングファスナーとセリフクリンチングファスナーはどちらがより優れている?
- セルフクリンチングファスナーの技術について詳しく学ぼう
セルフタッピングネジとは?
セルフタッピングネジは、金属などの相手材にネジ山を切りながら取り付けられるネジで、タップが不要です。サイズや先端形状、ヘッドの種類も様々です。
金属用のセルフタッピングネジには材料に穴を開けられないものもあり、その場合は締結作業の前に下穴を開けておく必要があります。ネジを相手材に確実に固定するためには、下穴の直径をネジより小さくする必要があります。
押し出しとタップの工程では、まずパネルに穴を開けて板金を押し出し、効果的に厚くする必要があります。その後、セルフタッピングネジを挿入します。
セルフタッピングとセルフドリル
セルフドリルネジとセルフタッピングネジに違いはある?はい。これらは二種類の異なるネジですが、しばしば混同されています。
共通点としては、どちらのネジも金属部品を固定することができ、ネジ山を形成する能力があります。
セルフタッピングネジはあらかじめ下穴を開けておく必要がありますが、セルフドリルネジはその必要がありません。鋭いネジ山とドリルビット状の先端により、さまざまな金属材料にネジ自身で穴を開けることができます。下穴を開ける必要がないため施工が早くなり、コストの削減にもつながります。
すべてのセルフドリルネジはセルフタッピングネジですが、すべてのセルフタッピングネジがセルフドリルネジというわけではありません。
セルフクリンチングファスナーとは?
金属用として一般的なセルフタッピングネジに代わるファスニング案としてPEM®のセルフクリンチングファスナーがあります。セルフクリンチング技術は製造ファスニング業界に革命を起こし、PEM®のファスナーが世界的な業界スタンダードとして知られるようになった理由でもあります。
セルフクリンチングファスナーのしくみ
セルフクリンチングファスナーは、延性のある母材に押し込むと、取付け穴部の母材がファスナーのシャンクまたはパイロットにある環状の凹部に常温で流れ込みます。
鋸歯状のクリンチリングやローレット、リブ、六角ヘッドが、一度挿入された母材のファスナーの回転を防止し、取付けられている部品の一部として永久的に機能します。
セルフクリンチングファスナーは、圧入力の調整が可能な平行式プレス機を使って取付けることができます。
工程は3つのステップに分かれています。
Step 1 - ファスナーをアンビルホールに差し込み、取付け穴をシャンクにかぶせます。
Step 2 - パンチとアンビルの面を平行にし、クリンチングナットの頭部が板材と接するまで力を加えます。
Step 3 - ファスナー頭部の反対側から相手材を取付けます。
セルフクリンチングファスナーのメリットとは?
セルフクリンチングファスナーは、突出(タップ)式やスタンプネジよりも安定性が高く、0.20mm/.008インチの薄い金属にも強固な締結が可能です。薄さが理由で他の方法では確実な締結ができない板金で、高い耐トルク性・押抜力が必要とされる場合に適した選択肢です。
セルフクリンチング技術には他にも以下のメリットがあります。
高い清浄度
セルフクリンチングファスナーは、溶接ナットなど他の接合方法よりも清浄で環境に優しく、エネルギー消費量も少なくて済みます。溶接中の飛散の心配もありません。
設計の柔軟性
異種材料(一般的なスチール、ハイスなど)への締結が可能です。
取付けの簡単さ
セルフクリンチングファスナーは、丸い穴に簡単かつ効率的に取付けることが可能です。二次加工は必要ありません。
コストの削減
中量〜大量生産まで、取付け時間の短縮を実現します。金型内取付けも可能です。
セルフクリンチング技術を採用している業界
汎用性の高いPEM®のセルフクリンチングファスナーは、さまざまな業界で幅広く活用されています。
コンシューマーエレクトロニクス(消費者用電子機器)
アプリケーション
ノートパソコン、ウェアラブルデバイス、スマートフォン、ゲーム、IoTデバイス
データコム・テレコム
アプリケーション
5Gネットワークインフラ、データセンター、サーバー、スイッチ、ルーター
工業・商業
アプリケーション
代替エネルギー生成装置、芝生・園芸、農業・建設、照明、海洋、鉄道、その他交通
医療
アプリケーション
ラボ設備、デジタル画像処理、MRI/CTスキャナ、人工呼吸器、血液分析検査、移動式ワークステーション
セルフクリンチングファスナーの種類
PEM®のセルフクリンチング技術は、様々な型式のファスナーに適用することができ、セルフクリンチング技術のメリットと幅広いファスナーの機能性を組み合わせることができます。
当社では、お客様の設計要件を満たすために、幅広い標準ファスナーのカタログを提供しています。カスタム設計や製造が必要な複雑なアプリケーションには、当社のPEMedge®サービスが包括的なテストとアプリケーションエンジニアリングサポートを提供していますので、専門家にご相談ください。
セルフタッピングファスナーとセリフクリンチングファスナーはどちらがより優れている?
金属を固定する場合、用途によってはセルフタッピングネジが望ましい場合があります。相手材が十分な厚みを持っている限り、簡単なドリルプレスで強固な締結を実現することができます。ただし、ネジの強度は素材によって制限されます。
美観を必要としない用途の場合は、セルフタッピングネジで十分対応できます。
もう一つの考慮点として、突出またはタップ式の取付け方法ではネジ切りの際相手材との間に金属片が入ることがあり、特に電気や食品の用途には懸念があります。
特に相手材が薄い場合は、セルフクリンチング技術を使えば突出・タップ式よりも強度の高い締結を実現することができます。
洗練された外観を必要とするアプリケーションには、通常セルフクリンチング式がより優れた選択肢となります。
PEM®のセルフクリンチングパネルファスナーを使用するメリットは、ハードウェアのゆるみを完全に排除することができるという点です。これにより、現場での作業を含む部品の取付けや組み立て作業を簡素化し、迅速化することができます。
どのファスナーの使用が最適かは、最終的にはお客様のアプリケーションによって決まります。
セルフクリンチングファスナーの技術について詳しく学ぼう
PEM®のセルフクリンチング技術のメリットや適用可能なファスナー(標準オプションからカスタムソリューションまで)など、詳しく知りたい方はハンドブックをご覧ください。
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