ファスナーは溶接や接着に代わるソリューションとして様々な産業で使用されており、種類によって独自の機能、用途、また利点があります。

PEM® は80年の歴史を通して、常に業界の最先端であり続けることに誇りを持ってきました。私たちは設計エンジニアがアセンブリを組み立てるための新しく革新的な方法を考案し、製品ラインの開発に注力し続けてきました。

このブログでは、PEM®の専門家が同社の最も革新的なファスナー技術を紹介し、ファスナー業界の将来を展望します。

セルフクリンチング技術の利点

セルフクリンチングファスナー技術は、溶接などの従来の接合方法に代わるソリューションとして、生産ファスニングに革命をもたらしました。セルフクリンチング技術は、現代の困難なアプリケーションにおいても実証された性能を持つ、よりクリーンでエネルギー効率の良い代替技術を提供します。

セルフクリンチング技術は、より強力な接合部を提供し、より迅速で効率的な生産工程を促進するため、あらゆる業界のエンジニアや加工業者から信頼されています。また、特に大量生産の用途では、コスト削減という利点もあります。

セルフクリンチングファスナー技術は溶接では不可能な異種材料の接合に使用できるため、他の接合方法と比較して設計の柔軟性が高くなります。

また、セルフクリンチングファスナーの取付け工程は、よりクリーンで環境に優しいのも特徴です。プレスを作動させるために必要なエネルギーは、溶接装置よりもはるかに少なく、その後の処置も不要になるため、企業は作業時間を大幅に短縮することができます。

ユーザーが溶接の代わりにセルフクリンチング技術を選択する理由は数々あります。セルフクリンチング技術の具体的な技術的メリットには、次のようなもの挙げられます。

  • 0.2mm(.008”)までの薄型金属に強力なネジ山やアタッチメントを提供できる
  • 高い押抜力と耐トルクアウト性
  • 面取りやバリ取りなどの特別な穴加工が不要
  • 均一に荷重がかけられるなら、どんな設備でも取り付けが可能
  • 金属板の裏面は平面のまま
  • 取付け後のリタップが不要
  • 取付けコストが低い
  • 自動装置で取付けられるため大量生産に対応可能

また、セルフクリンチングファスナー技術は、設計エンジニアのDFMAパラメータ遵守においてもをさまざまな利点を提供します。これには、部品点数の削減、組立工程の削減、総組立時間の短縮などが含まれます。

これらすべてが組み合わさることで、市場投入までの時間の短縮、組立工程の簡素化、品質の向上、オーバーヘッドの削減が促進され、プロジェクト全体の大幅なコスト削減につながります。

microPEM® ファスナーの紹介


PEM®グローバル技術マーケティングマネージャーのJay McKenna氏は、microPEM® ファスナーについて次のようにコメントしています。

「当社のPEMedge® 分解サービスが普及するにつれて、アセンブリの面積をできる限り減らそうとする顧客の傾向に気がつきました。より薄いシートの使用、ステンレス鋼の使用の増加、設計エンジニアが全体的なフットプリントを削減できるファスナーソリューションを必要とするタイトな設計が見られるようになりました。その結果、PEM®の専門家は長年にわたり、このトレンドの最先端に立ち、これらすべてを可能にするソリューションを開発するために努力してきました。そんな中、当社が開発したソリューションの1つが、microPEM®セルフクリンチングファスナーのシリーズです。」

microPEM® TackPin® ファスナー

さらにMcKenna氏は、次のように説明しています。「設計においてネジのコストは既知であることが多いのですが、そのネジを使った設計や組み立てのコストは未知数です。ルースネジを使って作業するとなると、様々なコストがかかります。」

実際に、コストには次のようなものが含まれます。

  • 振動による緩みを防止するためのパッチの適用
  • ネジインサートやタップ穴の使用
  • 取付け時間の増加 - 部品をねじ込むよりも、アセンブリに押し込む方が取付け時間は短く済みます。
  • ネジの詰まりによる修正費用
  • ドライバービットの追加
  • ドライバービットのカムアウトによる修正費用

「設計エンジニアは、1,000本セットのネジの価格は知っていますが、上記のすべての要因を考慮し、それらのネジを活用して製品を組み立てるための総コストがいくらになるかは考えていない場合が多いです。そこで、 TackPin®ファスナーが大きなメリットを提供します。」

「TackPin®ファスナーを使用した取付けでは、硬いファスナーを柔らかいパネルに取り付けることになります。この部品は強力な接合方法を提供するだけでなく、設置面積が小さく、ルースネジよりも軽量です。また、コンパクトな設計において重要なZハイトも短いのが特徴です。」

他にもmicroPEM® TackPin®ファスナーが提供するその利点には以下が挙げられます。

  • 360度完全に金属と金属が接触し、接地または導電性の要件をサポート
  • ネジ詰まりの可能性や取り付け中にドライバービットがカムアウトする危険性がなく使いやすい
  • 高性能 - 同サイズのねじよりも引き抜き強度が強い
  • 軽量
  • ヘッドのフットプリントが小さく全体的に小さいため、よりタイトでコンパクトな設計が可能

「これらすべての要素がコストの削減につながり、OEMとファブリケーターの双方にメリットをもたらします。TackPin®ファスナーは、ルースネジで作業することから生じる潜在的な廃材や損傷部品のリスクを排除することで、より高い性能とコストの節約を提供します。」

microPEM® FlexTack® ファスナー 

「アプリケーションによっては、天板の公差が問題になります。場合によっては、公称パネル厚の±10%となることもあります」とMcKenna氏は言います。microPEM®FlexTack®ファスナーは、この課題に対する答えとして設計されました。

microPEM® FlexTack®ファスナーはベルヴィル形状の頭部を持ち、取付け時には一般的なTackPin®ファスナーのように下側のパネルにクリンチします。しかし、ヘッド部は平らになるため、パネルを引き寄せるのに役立ちます。

「この機能は、例えばキーボードのようなタッチポイントのある製品で、隙間の許容誤差が性能に影響するような場合に望まれます。FlexTack®ファスナーを使用することでこのような心配がなくなり、パネルとパネルがしっかりと接触します。」

microPEM® TackSert® ファスナー 

非導電性金属やその他の材料を使用する場合、ネジに代わる別のタイプのファスナーを検討する必要が出てきます。

McKenna氏「プラスチックやアルミニウム、マグネシウムの鋳物で作られたアプリケーションでは、microPEM® TackSert®ファスナーが推奨されます。このファスナーは、標準的なネジよりもはるかに薄いヘッドを持ち、材料に食い込みながら天板を固定することができます。」

「TackSert®ファスナーは、TackPin®ファスナーが持つ利点をすべて提供します。ねじ切りに関連するコストやネジ詰まりリスクを排除し、Z-ハイトを低減することで設計上の問題を解決します。」

他にも、microPEM® TackSert®ファスナーが持つ主な利点には以下が挙げられます。

  • ネジ詰まりのリスクを排除
  • インサートやタップ穴が不要
  • 締め付けトルク管理に伴うリスクを軽減
  • 振動によるバックアウトの可能性を排除
  • 自動で簡単に取付け可能
  • いたずら防止

microPEM® TackScrew® ファスナー

アプリケーションによっては、設計エンジニアはネジの使用に伴うすべてのリスクを排除したいと思うかもしれませんが、これには修理可能性の問題が付いてきます。このような場合、部品を所定の位置に固定しかつ取り外せることが不可欠です。

修理性が設計において優先されるようになった今、修理可能でありながら、プレスイン部品の利点もすべて持ち合わせているTackScrew®ファスナーはまさに理想の製品です。

ClampDisk® ファスナー

エンジニアがアセンブリからルースネジを排除したい場合、TackPin®とTackSert®ファスナーでほとんどの場合は対応できます。ただし、クランプが必要な場合は、アセンブリにクランプ荷重を与えるように作られたClampDisk®ファスナーがあります。

CDS™ microPEM® ClampDisk®ファスナーは、1mmピンをまっすぐに押し、ネジ、接着剤、リベット、その他の小さなファスナーを交換します。ディスクの上向きのフランジがピンをつかみ、押しのけを防ぐ一方で、ダウンロードフランジがたわみ、クランプ荷重を発生させます。ピンはクリンチされていたり、鋳造設計で作られたいる場合もあるため、鋳物の一部となります。

この部品は、鋭利な工具で取り外して開け、また新しい部品を取付けて再び組み立てることができます。

ClampDisk® ファスナーが提供する主な利点には、次のようなものがあります。

  • クランプ荷重の発生
  • 簡単な取付け
  • 取り外しが可能
  • あらゆる素材の複数のパネルとの互換性
  • 組み立て時の取付け応力が少ない
  • いたずら防止

SpotFast® 

取り付け中に「バルブ」するリベットとは異なり、SpotFast®ファスナーのフラッシュプロファイルは、最小のスペースで取付けを可能にします。滑らかな表面は仕上げのために保持され、ファスナーは塗料や粉体塗装で簡単に隠すことができます。

PEM®セルフクリンチファスナーのSpotFast®シリーズには、4つのモデルがあります。

SFTM 

SF™ ファスナーは、2枚のシートの間に永久的で平らな接合部を作ります。ファスナーを所定の位置に押し込むと、パネル材がファスナーの2つの独立したクリンチプロファイルにコールドフローします。

このタイプのファスナーは、溶接が困難な2枚の金属シートの接合、厚さの異なるシートの接合、溶接できない異種金属の接合、さらには極薄の金属部分の接合に使用できます。

SFPTM 

SFP™ ファスナーはSF™ファスナーと同じ利点を提供しますが、析出硬化ステンレス鋼から作られており、ステンレス鋼シートへの取付けに適しています。

SFWTM 

SFW™ fasteners は、SF™ファスナーと同様のメリットを持っていますが、特に2枚の金属シートの間で回転できるように設計されています。ウェーブワッシャーが、一貫したねじりを提供し、繰り返しの回転を可能にします。

SFKTM

SFK™ ファスナーは、金属とプリント基板/プラスチック/鋳造パネルのフラッシュ接合用に設計されています。

SFNTM スピニングフレアナット

SFN™スピニングフレアナットは、アセンブリ内のルースハードウェアをなくすように設計されています。通常、トップパネルにはクリンチスタッドがあり、そこにルースナットをねじ込んで2つのパネルを固定します。しかし、特定のアプリケーションにおけるルースハードウェアの使用は、加工業者やそのメンテナンスを担当するエンジニアにとって課題となります。

SFN™ナットの使用では、部品が適切なサイズのあらかじめエンボス加工された取り付け穴に押し込まれると、トルク抵抗がなくなり、その場で自由に回転することで相手材の金具に素早く取り付けることができます。ナットを外すとパネルは分離し、再び組み立てると、元通りになります。これにより部品を紛失することなく、組み立てと分解を簡単に繰り返すことが可能となります。

VariMount® 接着ファスナー

VariMount®ファスニングシステムは溶接に関連する問題を排除します。アセンブリはベースプレートに恒久的に取り付けられた標準PEM®ナット、スタッドまたはスペーサーで構成されており、様々な方法で多様なパネルタイプに固定・接着することができます。

VariMount®ファスナーで使用できる取り付け方法には以下のものがあります。

  • モールドイン
  • 複合ラミネート
  • 表面接着
  • リベット
  • ルースハードウェア(ナット、ボルト、ネジ)
  • セルフクリンチングファスナー
  • ブラインドネジリベット
  • 接着剤または粘着テープ
  • 中空壁アンカー

VariMount® 接着ファスナーは、複合材、プラスチック、金属、壁板、その他あらゆる硬質材料やパネルを含むさまざまな材料に取付けることができます。

GHOSTTM マグネットファスニング 

現在、技術リリースとしてPEM®シリーズの一部となっているGHOST™マグネットファスナーソリューションは、厳重なセキュリティとスマートな外観を実現する理想的なソリューションです。GHOST™ファスナーが本格的にリリースされれば、一度締結されると分解された形跡が全く残らない、完全に隠されたファスナーソリューションが実現します。

GHOST™ファスナーは、専門のマグネット工具を使用することで分解時にほぼ瞬時に取り外すことができ、組み立てと再組み立てを可能にします。この製品の洗練されたデザインと不可視性は、さまざまな産業や市場分野での設計の可能性を広げることとなるでしょう。

コンシールドファスナーにマグネットリリースツールを使用することで内部の部品が作動し、ピンチロックグリップのロックが解除され、ファスナーからピンが瞬時に外れます。工具をどこに置けば部品を発見・解除できるかは権限のある担当者だけが知っており、必要に応じて解除が可能です。

GHOST™ファスナーには外観上のメリットもありますが、セキュリティの面でも他の組み立て方法よりはるかに優れています。工具を使わずに物理的に部品を分離しようとすると、各ピンをリテーナーから分離させるのに約130ニュートンの力が必要となり、いたずらの痕跡が一目瞭然となります。

ファスナー業界の向かう先は?PEMファスナー業界レポート2023

PEM®の専門家が考えるファスナー業界の未来について知りたいですか?このレポートでは、カーエレクトロニクス、コンシューマーエレクトロニクス(消費者用電子機器)、機械工学をなどの様々な業界における更なる発展を実現するために、当社が現在開発している革新的な技術について学ぶことができます。

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