IP等級ファスナーの概要
IP等級とファスナー
適切な電気エンクロージャまたはジョイントボックスを選択する際の重要な要素の1つがIP等級です。IP等級とは、ほこりや湿気、その他の環境リスクに対する耐性を示す指標です。しかし、エンクロージャ全体の保護性能は、ファスナーなど最も脆弱な部分の強度に左右されます。そのため、エンクロージャの密閉性を保つには、IP等級を満たす適切なファスナーの使用が欠かせません。エンクロージャの設置場所にかかわらず、ハウジングおよびその締結部品には、使用される環境条件への十分な耐性が求められます。
IP等級を満たすエンクロージャおよびファスナーは、電気自動車(EV)のような要求の厳しい用途において特に重要です。例えば、EVのバッテリーパックは、安全性と性能を確保するため、車体に確実に固定されるだけでなく、湿気の侵入を完全に防ぐ必要があります。こうした要求は、粉塵や水、振動、極端な温度といった厳しい環境下で使用される精密なカーエレクトロニクスにも当てはまります。さらに、IP等級を満たす部品は、自動車分野にとどまらず、データ通信や電気通信の屋外機器など、雨風や汚れ、腐食性物質といった過酷な環境下で高い信頼性が求められる分野でも欠かせない存在となっています。
一般的なボルト接続では、締め付け時にヘッド下部から液体が侵入し、ねじ山に沿って接合部の反対側まで漏れ出す可能性があります。また、これにより部品の損傷を引き起こす恐れもあります。現状、この漏洩経路を遮断するために、封止剤やOリングなどが広く使用されています。しかし、このような追加のシーリング工程は組立コストを増加させるだけでなく、環境要因による経年劣化のリスクも伴います。
従来トルクを用いたボルト接続では、パネル材に対して十分な密閉性を確保できません。標準的なクリンチングファスナーも同様です。PEM® IFH™は、封止剤やOリングを使用せずに、取り付けと同時にシール化された接合部を形成できる、IP等級対応のフラッシュヘッド型パネルファスナーです。IFH™は相互作用の高いクリンチング設計を採用することで、経年劣化のない耐久性に優れたシール接合を瞬時に形成することができ、必要に応じた分解も可能です。
ぜひ、当社の機械式IP等級(IPX9K)接合ソリューション、IFH™スタッドの詳細をご覧ください。本製品は高い防水性を備えており、侵入保護に関する2024年の国際規格 ISO 20653およびIPX7・IPX9Kに準拠しています。このPEM®クリンチング技術により、時間の経過とともに密閉性が低下するゴムガスケットや封止剤を使用する必要がなくなります。お客様が様々な産業分野でご使用いただけるよう、CR4、6082-T6、および304ステンレス鋼での試験が完了しています。
IP等級は、製品設計における基本的な検討項目の1つであり、ほこりや水、その他の環境リスクにさらされても、製品や機械が確実に機能し続けることを保証する指標です。日常的に使用するガジェットから最先端の産業機器に至るまで、IP等級はその耐久性や信頼性を評価する明確な基準となります。
IP等級の理解:その定義と重要性
スマートフォンを水中に落としても故障しなかったという経験はありませんか?あるいは、屋外に設置された監視カメラが雨風やほこりにさらされながらも正常に作動しているのを目にしたことはありませんか?こうした製品の耐久性の裏には、「IP等級」という仕組みがあります。IP等級とは、ほこりや水などの外的要因から内部の精密機器を守るための基準であり、製品設計において非常に重要な役割を果たしています。
IP等級の読み方:数字が示す意味とは?
IP等級は、エンクロージャの防塵・防水性能を分類する世界標準規格です。この投稿では、IP等級の構造、各数字の意味、および様々な保護レベルの実際の例についてご説明します。
IP等級試験の方法:過酷な環境における信頼性の確保
試験方法は、実際の環境をシミュレートし、微細なほこり、雨、水噴射、さらには完全な水没にさらされた場合でも、製品が期待どおりの性能を発揮することを確認します。この投稿では、固体粒子試験や水浸試験などのIP等級を決定する重要な試験手順について説明します。
製品がIP等級試験に不合格となる理由:弱点を理解する
メーカーは、自社製品がほこり、水、その他の環境要因に耐えることを保証するために、IP等級試験に多額の投資を行っています。しかし、厳格なIP等級を満たすように設計された製品であっても、すべての製品がこれらの試験に合格するわけではありません。不合格の原因は、小さな設計上の欠陥、製造上のばらつき、または時間の経過とともに保護機能を弱める環境要因など、様々なものが考えられます。
IP等級に対応した設計:信頼性と耐久性に優れたエンクロージャーの構築方法
強力なIP等級に対応した製品を製造するには、シールを追加するだけでは不十分です。慎重な材料の選択、正確な製造、そしてスマートなエンクロージャの設計も必要です。防水スマートウォッチ、工業用コントロールパネル、屋外用セキュリティカメラなど、どのような製品を設計する場合でも、エンジニアは圧力変化、機械的ストレス、材料の適合性などの要因に対処しなければなりません。
信頼性の高いIP等級を実現するための締結方法の役割
IP等級について議論する場合、その焦点はシール性能、材料の選択、エンクロージャの設計などに集中しがちです。しかし、IP等級を満たすエンクロージャを実現するために、見過ごされがちですが重要な要素が接合方法の選択です。
ファスナーは、エンクロージャの完全性を維持する上で重要な役割を果たし、製品がほこり、水、機械的ストレスにどれだけ耐えられるかに影響を与えます。よく設計されたエンクロージャでも締結方法が不適切だと時間の経過とともに緩んだり、シールが不適切に圧縮されたり、ファスナーの張力によって材料にストレスがかかったりして故障の危険性があります。